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――♪♪♪


耳元でスマホのアラームが鳴っていた。設定音は元から内蔵されているテンポのいい木琴みたいな音。

別に気に入ってるわけじゃなく、枕元で鳴っても不快じゃなさそうなやつを選んだだけ……って、今日は休みなのに解除し忘れてた。

……最悪。


私は眠りから覚めていない頭で設定をOFFにして、また目を瞑った。再び寝落ちする寸前で今度は〝ピンポーン〟と家のインターホン。

お父さんが応対するだろうと思いながら私は無視。


――ピンポーン、ピンポーン。

ああ、そういえばお父さん今日は早番だって言ってた。


――ピンポーン、ピンポーン。

どうせ新聞の勧誘でしょ。


――ピンポーン、ピンポーン。

それにしてもしつこくない?今何時だと思ってんの。常識なさすぎ。


――ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。


「ああっ!……もう!!」

私は堪らずにベッドから起き上がって階段を駆けおりた。誰だか知らないけど本当に迷惑。私がイライラしながら玄関に向かってる間もインターホンは鳴り止まなくて、ひと言文句ぐらい言っても許されると思う。

勢いのままドアノブに手をかけたけど、怪しい人だったらまずいと一応覗き穴を確認。


そこにいたのは見覚えのある顔。


……え、なな、なんで?

5秒くらい時間が止まって、それでも耳障りなインターホンは止まらないから私は恐る恐るドアを開ける。

「なにか用?」と言い終わる前の〝な〟の時点でグイッとドアを掴まれて、そいつと目が合った。



「雨宮。今日からお前の家、貸してくんない?」

「は?」