蒼大さんを同じように抱き締め返した。

背中をゆっくりと擦れば、蒼大さんが腕に力を込めて強く抱き締めてきた。


「いなくならない。大丈夫だから。」

「ごめん、弱くて。」

「ううん、私が傷つけたからだね。ごめん、本当にごめんなさい。」

「二度と何も言わずに消えないでくれ。」

「約束するよ。」


弛められた腕に蒼大さんを見上げる。


「蒼大さんも浴びる?」

「そうする。髪は乾かさないのか?」

「まだ大丈夫。後で乾かすから。」

「そうか。リビングでもベッドでもゆっくりしてて。」


蒼大さんがシャワールームへ消えた。

目も覚めた事だし、リビングへと向かえば、散らかったままのリビングに苦笑いした。

簡単に片付けてから、窓を開けてベランダに出た。

今日も暑くなりそうな空が広がっていた。

ベランダに置かれた椅子に腰掛けて、ぼーっと空を眺めていた。


「一花?」


掛けられた声に蒼大さんを見上げれば、髪を拭きながら蒼大さんが立っていた。