「いるよ、ちゃんと。」


蒼大さんに微笑んで見せた。

しばらく二人の間に沈黙が流れたが、先に口を開いたのは蒼大さんだった。


「よし、飲むか。」

「うん。」


いつもの蒼大さんに内心ほっとしていた。

お腹も空いていたし、飲みやすいお酒という事もあって、私の酔いも回ってきているのを感じる。

そんな私は饒舌になっていた。


「蒼大さんも渡部さんも、女子社員から凄く人気があるのに何で私なんですかね?」

「………。」

「渡部さんなんて、この前まで『冷めてるし、性格がキツいから彼女にはしたくない』って言ってたばかりなのに。」

「………。」

「急にいつもの渡部さんじゃなくなってて、凄く驚いたんですよ。」


さっきの渡部さんを思い出して、蒼大さんへ愚痴を溢していた。

蒼大さんはお酒を片手に無表情で聞いている。


「渡部さんを尊敬してるし、頼りになるし、困ったら手を差し伸べてくれる優しい一面もあるけど…………社内恋愛は無理だから。」

「社内恋愛は無理?」


蒼大さんが怪訝な表情をした。