渡部さんが大きく息を吐き出し、私を真っ直ぐに見据えてきた。


「青山の傷つけた人って、岡崎部長?」

「………はい。」

「ふ~ん、なら同情?」


繋がれた手がピクリと揺れた。

反応したのは蒼大さんだ。


「傷つけた人に謝れた訳だ。っで、その人と付き合ってるって事?」

「………はい。」

「聞くけど、青山の気持ちは?」

「えっ?」

「再会して好きになった?だから付き合ってる?」


渡部さんの問いに答えられない。自分の気持ちがはっきりと分からないからだ。

蒼大さんと繋いだ手に力が籠められるのを感じた。


「確か渡部さんだよね?一花の上司の。」

「はい。」

「確かに今は……俺が頼んで付き合ってもらってる。」

「なるほど。なら、俺にもチャンスはありますよね?」


渡部さんの言葉に反論しようとしたが、蒼大さんに先を越された。


「チャンスはない。絶対に一花は俺を好きなる。」

「流石は自信家だね、岡崎部長。」


クスリと笑う渡部さんの笑みが怖い。