渡部さんの手が私の両肩を掴む。

あまりの迫力に身動きが出来ない。


「俺は……。」

「一花。」


聞こえてきた声に顔を向ければ、渡部さんも同じように顔を向けていた。

蒼大さんが睨むように私達を見ている。


「岡崎部長?」


驚いた声を上げたのは渡部さんだ。

私と蒼大さんを交互に目を見開いて見ている。


「すまないが、一花から離れてもらえる?」

「えっ?岡崎部長ですよね?」

「そうだが。」


渡部さんが私から一歩後退りした。

離れていく渡部さんの手に体から力を抜いた。

蒼大さんが私の手を繋いできた行動に、渡部さんが様子を窺っている。


「青山と?」

「付き合ってる。」

「でも青山と知り合ったのは数日前の会議では?」

「再会したの間違いだ。」


唇を噛み締めた渡部さんを、蒼大さんが冷たい表情で見ているのがわかった。

『俺の事を考えてみて。』

渡部さんの本気が今伝わった。