「青山は彼氏とか欲しくない?」

「渡部さんは?実は彼女がいる?」

「俺は………狙ってる女はいる。」

「いるんだ。」


渡部さんの視線を感じた私は隣を見上げる。じっと見つめる瞳に足を止めた。

いつもと雰囲気が違いすぎる。


「青山は?」


少し先で足を止めた渡部さんが後ろを振り向き質問してきた。

その表情はいつもの笑みはなく、真剣な眼差しを向けていた。


「青山は?何で彼氏を作らない?」

「私は………。」


頭の中で呼び起こされる罪悪感。


そう――――


「過去に傷つけた人が忘れられなくて。」

「元彼?」

「どうかな?付き合っていたのかも分からない。だけど………彼を傷つけたんじゃないかと後悔してた。だから前に踏み出せないでいる。」

「ふ~ん。その男に謝れば終わりじゃないのか?」

「そうだね。謝れば終わりだったかもしれない。だけど今まで出来なかった。」

「そうか。」


渡部さんが歩き始めたのを見て、私も歩き始めた。