幸せそうな笑みが目の前にある。


「一花、旨い。」

「ありがとう。」

「意外だな。」

「私も意外だったよ。誰かの為に作る料理って『楽しいんだ』って発見した。」


本当にそう思った。

蒼大となら、また新たな発見が出来るかもしれない。

そんな気がしてくる。


「明日、最後の会議だろ?」

「あっ、うん、そうだね。どう?順調かな?」

「ああ。」


急に考え事を始めた蒼大に首を傾げた。

実は順調じゃないのかな?

心の中を見透かされた。


「一花、順調だから心配ない。」

「そう?」


二人で片付けをしてベッドに入る。

すでに0時を過ぎている。


「抱きたいけど止めとく。期待してたなら応えるけど?」

「してません。明日も早いし、寝ないと疲れが取れないよ。」

「ああ。チッ、勿体ない。」

「………。」


抱き寄せる蒼大の腕に擦り寄り、そっと目を閉じる。

蒼大の唇が触れ、名残惜しそうに離れていく唇に寂しさが募った。

よっぽど疲れているみたいで、蒼大の寝息が直ぐに聞こえ始めた。


「蒼大、おやすみ。」


私も温もりに包まれて深い眠りへと落ちていった。