「………ちか、一花、一花。」

「蒼大?」

「来てたのか?」

「うん、会いたくて。」


素直に言葉にしていた。

抱き締める温もりに眠気が覚めていく。


「俺も会いたかった。一花が来てくれるなんて思わなかった。」

「私も。」

「もっともっと触れたい、一花に。」

「私も。」


体が離れて顔が近づいてくるが、今、ここで流されたら駄目だと思い、蒼大の口を手で塞いだ。

目と目が合う。


「この手は何だ。」


不機嫌な声に慌てて手を離した。


「あのさ、ご飯を作った………あっ、もう食べたかな?」


時計の針は23時を過ぎていた。

だけど蒼大が笑みを見せたのに安心した。


「着替えてくる。あっ、時間あるなら、先にシャワーを浴びてくるが?」

「うん、浴びてきて。用意しておく。」


急いでキッチンに立ち、最後の仕上げに取り掛かる。

この時間も楽しいものだ。

誰かの為に作る………か………。

案外といいものだ。