「よ〜するに、あたしはいらないんでしょ!」

真由は、シートの背もたれを倒し、

「どうして〜あたしは、こんなところに、座らされているのよ」

ふてくされる孫に、潤一郎は深くため息をつくと、

おもむろに話し出した。

「このガンスロンは…お前じゃないと駄目なんじゃ…。覚えておるか?お前が小さい頃に、飼っていたロンのことを…」

真由は背もたれを、さらに倒し、

「そりゃ〜あ…覚えてるわよ。あたしが、死にかけてたのを助けて、子犬から育てたんだから………だけど!いきなりいなくなって」

しゅんとしだした真由は、体を起き上がらせて、潤一郎を睨んだ。

「どうして、そんなことを思い出させるのよ!」



潤一郎は、画面の中で、真剣な顔になり、

「大事なことじゃよ。ロンがいなければ、我々はこの戦いが何なのか…知らずに、知性を奪われるところ…だったのだからな」



潤一郎な目が、遠いところを見ていた。

過去の…過ぎ去った映像を。



「神に選ばれた…五体の生き物の内、哺乳類の代表に選ばれたのは、最初はロンだったからな…」

「え?」

思いも寄らない潤一郎の言葉に、真由は驚いた。

「本当じゃよ。もう七年前になるかの。生駒の山上で、巨大な生物が発見されたと…噂になったが、すぐに誤報と、訂正されたことがあったじゃろ?」

「う…うん…」

真由には記憶がない。七年前なら、小学校一年くらいだ。

「それは、誤報じゃない。生駒の遊園地内で、ロンは倒れておったのじゃよ。神を裏切り…我々に計画を伝える為にな」


まどかが、話を続けた。

「我々に計画を告げた後…ロンは死んだわ。巨大化した彼の体は、肉体が強化されていた。私達は、ロンの強化細胞を使い…ガンスロンでネックだった…稼働系の接合部や、関節にあたる部分に、ロンの筋肉を使用したの。それだけじゃないわ」

「ガンスロンの頭脳には、ロンの脳が埋め込まれている」