なんだ、そんなくだらないことか。


と、心の中で安堵のため息を吐き出した。


「昨日の課題ってどんなのだっけ?」


最近買い物に忙しくて勉強はほとんど手付かずだった。


それが原因で何度か職員室にも呼ばれている。


けれど、簡単に大金が手に入るとわかった今、勉強なんてする意味もなくなっていた。


立派な大学に入る事も、有名な会社に入社することも必要ない。


複製機さえあればなんでも手に入るんだから。


「最近マキは課題を忘れすぎだろ」


陸人が呆れたようにそう言った。


「だって、手伝いとか忙しいんだもん」


「そんなんじゃ次のテストもやばいぞ」


相変わらず陸人はあたしの親のような事を言ってくる。


さっきまではナオと楽しそうに会話していたくせに。


そう思うと胸の中に黒いモヤが渦巻いてくるのを感じた。