その時だった。


「ナオ」


陸人の声が聞こえて来てあたしは現実に引き戻された。


ナオの机の方へと視線を向けると、陸人が近づいていくのが見えた。


2人はなにか楽しそうに会話を始めている。


その光景に一瞬頭の中は真っ白になった。


あの2人はいつからあんなに仲良くなったんだろう?


陸人からナオに話しかけることなんて、あったっけ?


あたしの記憶の中の2人は、あたしを挟んで会話をしている姿しかなかった。


なんだか嫌な予感が胸をよぎる。


あたしは席を立ち、2人に近づいた。


「何の話をしてるの?」


笑顔を浮かべてそう聞くと、陸人が振りむいた。


「昨日の課題の話」


そう言って机の上に置かれているプリントを指さす陸人。