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その日、あたしはとても気分が良かった。


頑張ったおかげでブランド物を手にしたのだと、クラスメートのみんなが信じて、あたしを褒めてくれた。


弘樹だけは本当のことを知っていたけれど、あたしに惚れている弘樹が余計な事を言うとは思えなかった。


そんな日が数日続いた時だった。


欲しいものをあらかた手に入れたあたしは、教室の机で雑誌を広げていた。


今度発売される新商品をチェックしているのだ。


何十万円もするバッグに目が輝く。


これを持って歩いていれば、あたしは注目を浴びる事だろう。


同年代の子からは憧れの的になるかもしれない。


そう思うと、血が沸き立つのを感じる。


あたしは財布の中のお金を思い出していた。


最近使い過ぎて残り1万円になっている。


このバッグを購入するために何度複製機を使えばいいか計算していた。