「え、これを弘樹も買ったの?」


思わずそう聞いていた。


弘樹は「そうだよ」と、自慢げに頷く。


確かに、高校生でこの金額の靴を履いているとなると十分自慢に繋がるだろう。


「弘樹ってバイトしてるの?」


「いや、してないよ」


「じゃあ、家がお金持ちなんだ。いいなぁお坊ちゃま君じゃん」


そう言い、あたしは頬を膨らませた。


あたしの家だって何不自由はない。


お小遣いは毎月2万円で、友達からは羨ましがられている。


けれど一人っ子のあたしはアルバイトを禁止されていた。


欲しいものばかり増えて行くのに、たった2万円じゃ服もまともに買えない毎日だ。


幼い頃は何でも買ってくれていた両親だから、あたしはいつの間にか自分の欲しい物に歯止めがきかない性格になっていた。