「約束通り、使わせてもらうからね」


あたしがそう言っても、弘樹はボーっとした表情で頷くだけだった。


キスの余韻に浸っているようだけれど、あたしは今すぐにでも忘れたかった。


気を取り直すように自分の財布から2万円を取り出した。


「2枚入れたら、4枚になるんでしょ?」


「あぁ……なるよ」


弘樹が頷く。


その返事に安堵した。


まとめて複製できるのかどうか、確認してよかった。


あたしはさっそく機械の中に2万円を入れた。


赤いスイッチを押すと、弘樹とキスをしたというショックは徐々に薄れて行った。


この機械さえあればあたしはいくらでもお金を手にすることができるんだ。


今は弘樹に逆らわない方がいいと思ったけれど、あたしは必ずこの機械を手に入れる。