「大丈夫。俺はなにもしないし、部屋にも誰もいない」


確かに開けられたドアも向こうに人の気配は感じられない。


「妹さんは?」


ふと思い出してそう聞いた。


「幼稚園だよ。夕方の6時までは延長で見てくれるんだ」


弘樹の返事はよどみない。


きっと嘘はついていないんだろう。


あたしはそっと弘樹の部屋に足を踏み入れたのだった。