「本当なんだよ。じゃないとバイトもしてない俺がこんな大金持ってると思うか?」


そう言って弘樹は財布の中を見せて来た。


そこには軽く10万円は入っている。


思わず唾を飲みこんでしまう。


「これ、全部コピー?」


「もちろん」


「でも、バレたら逮捕だよ」


「バレると思う?」


その質問にあたしは返事ができなかった。


今あたしの手にある1万円札は、どこからどう見ても本物だったからだ。


弘樹は嘘をついているのかもしれない。


本当は莫大な遺産を貰っただけなのに、あたしの興味を惹こうとしているのかもしれない。