「そ、そんなんじゃないよ。弘樹とは幼馴染で兄妹みたいに育って来たから、最近の弘樹の変化が気になってるだけ」


柚香は早口でそう言うと、また少し落ち込んだ表情を見せた。


幼馴染が高校デビューしたというだけでここまで落ち込むことはないだろう。


やっぱり柚香は弘樹の事が好きなのだ。


あたしだって、陸人がどんどんカッコよくなったりしたらどうしても気になってしまう。


好きな子でもできたんじゃないかと、不安にもなるだろう。


恋をしているから、柚香の気持ちはとてもよく理解できた。


「弘樹のお爺さんが亡くなったって言ってたよね。弘樹があれほど変われたのは、そのおかげなんじゃない？」


『遺産が沢山入ったからじゃないか？』


という直接的な言葉はさすがに使う事ができなかった。