その中で自分にどれが合っているのか選ぶのだそうだ。


やっぱり弘樹のお爺さんは相当な資産家だったに違いない。


口には出さないけれど、あたしはそう思っていたのだった。


そして月曜日、眠い目をこすりながら教室へ入ると弘樹が先に登校してきていた。


普通に挨拶をしようとして、声が詰まった。


弘樹は髪の色を栗色に変えて来ていたのだ。


光に当たるとその色がわかる程度の暗い色だったけれど、弘樹の印象がガラリと変わっているからすぐにわかった。


それを見た瞬間、まさかという思いがよぎった。


あたしが栗色の髪が好きだと言ったのは、ついこの前だ。


もしかして弘樹はあたしの事が好きなんじゃないかと、思ってしまった。


「おはよ、マキ」


ナオの声が聞こえて来てあたしは笑顔を向けた。