そう思い、あたしはマナをその場に残して席を立った。


向かった先はクラスメートの高山柚香(タカヤマ ユズカ)の所だ。


柚香の席には数人の友達が集まっていたけれど、あたしが近づいて行くと場所を開けてくれた。


「ねぇ柚香、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」


そう言うと、柚香は少し驚いた顔を浮かべた。


あたしが柚香に話かけるなんてこと、滅多にないからだろう。


今までだって、学校で必要なことくらいしか会話したことがない。


柚香の周りはなんだか地味で、小説とか漫画の話ばかりしていて、あたしには正直よくわからない。


接点がないのだ。


けれど、柚香は弘樹の幼馴染だった。


柚香ならきっと弘樹の事をよく知っていることだろう。