キラキラ輝いて綺麗だし、宝石みたいだし、万年筆を使うなんて大人っぽいと思った。


「これは5万円くらいで買ったよ」


弘樹はそう言って万年筆をくるりと回して見せた。


5万円が乱雑に扱われていることにあたしは唖然としてしまう。


弘樹ってこんなキャラだっけ?


1学期まではもっと目立たなくて、持ち物だってあたしたちと変わらなかった気がする。


「それに比べればこれなんてとっても安いよね」


弘樹は万年筆を自分の胸ポケットにしまって、ぬいぐるみを見てそう言った。
あたしの喉がゴクリとなる。


「……貰っても、いいの?」


自分の声がか細くなって震えた。


教室に陸人もナオもいない事が良かった。


「いいよ。マキにあげるために持って来たんだから」


弘樹のその言葉があたしの背中をトンッと押した。