あたしはそっとぬいぐるみに触れてみた。


フカフカとして手触りが心地よくて、ずっと触っていたくなる。


ぬいぐるみなんて幼稚なもの、きっとあたしには似合わない。


ナオみたいに鞄につけることなんて絶対にないだろう。


頭では理解していた。


けれど、そのもっと深い部分で欲しいという感情が湧き上がってくるのだ。


弘樹はこれをあたしにくれると言っている。


あとはあたしが『ありがとう』と言って受け取ればいいだけのことだ。


そう考えながら、あたしは弘樹をチラチラと確認した。


弘樹の胸ポケットに指しているペンがさっきから蛍光灯の光で輝いている。


「なに?」


あたしの視線に気が付いた弘樹が首を傾げた。