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翌日、弘樹が言っていた通りぬいぐるみを持って来た。


それはナオの鞄についていたのと全く同じタイプのぬいぐるみで、あたしは手を伸ばしそうになってしまった。


ダメダメ。


ここで手を出したら我慢ができない奴だと思われてしまう。


弘樹の妹はまだ幼稚園なんだ。


そんな幼い子からぬいぐるみを奪うなんて、絶対にしちゃいけない。


自分自身にそう言い聞かせてあたしは「いらない」と、そっぽを向いた。


本当は欲しい。


喉から手が出るくらい欲しい。


1度欲しいと思ったら止まらない。