仲良さそうに入ってくる2人に下唇を噛みしめた。


ナオの顔はニヤニヤと緩みっぱなしだ。


あんな女のどこがいいんだろう。


そう思いながらあたしは2人に笑顔を向けた。


「おはようマキ」


「おはよう陸人」


「マキおはよー」


「おはよう」


ナオに関してはどうしても冷たくなってしまう。


それを隠すようにあたしは立ち上がった。


「陸人、制服に髪の毛がついてるよ」


陸人の背中側に回り、肩に落ちていた髪の毛をつまむ。


短くて少し茶色かかった髪の毛は間違いなく陸人のものだ。


「あぁ、サンキュ」


「どういたしまして」


あたしはそう言い、陸人の髪の毛を大切に財布の中にしまい込んだのだった。