時計の針がもうすぐで12時になる。


あたしはそっと弘樹から身を離した。


「1分で人間の複製が完了する」


「あの小さな箱から人間が出て来るの?」


「最初は小さいサイズなんだ。箱の外へ出ると本来の大きさになる」


「へぇ……」


針が12時を指したその瞬間、あたしは弘樹の頬を思いっきり叩いていた。


パンッ!と、肌をうつ音が大きく響く。


弘樹は顔をしかめ、けれどなにも言わなかった。


「待って、まだ話が――」


「もう二度とあたしに近づかないで! あんたなんか大嫌い!」


あたしは弘樹の言葉を遮ってそう言うと、カバンを持って家を出たのだった。