その真っ直ぐな気持ちはすごいと感じた。


あたしも陸人だけを好きだけど、他にも色々と欲しい物があって、手に入れるために弘樹とキスまでしてしまった。


それは決して純粋だとは言えない事だった。


「そういえば、弘樹のイトコにあたしによく似た子がいるんでしょ?」


ふと、随分前の話を思い出してそう聞いた。


あの時は結局イトコの姿を見る事ができなかったんだ。


「イトコ?」


柚香が首をかしげる。


「うん。あたしとそっくりな子と歩いてるって聞いたんだけど」


「弘樹のイトコはみんな男ばかりだよ? なにかの間違いじゃない?」


柚香の言葉にあたしは「え?」と、首を傾げた。


「でもよかった。ちゃんと話をしてよかった」


柚香はスッキリとした表情でそう言い、教室へ戻ってしまったのだった。