化粧品が好きなマナが目ざとくそう聞いて来た。


「そうだよ。昨日買ったばかりなの」


「いいなぁ! でもそれ高かったんじゃない?」


「5千円くらいだよ」


「やっぱり高いなー。マキはまだ毎日手伝いしてるの?」


「もちろんだよ。だって欲しい物が沢山あるんだもん」


あたしがそう言った時だった、ナオが陸人と話をしているのが視界に入った。


あたしたちの会話なんて興味がないようで、昨日のテレビの話題に花が咲いている。


「ねぇ陸人、このリップどう?」


わざと2人の間に割り込んでそう聞いた。


「え? あぁ、いいと思うよ。マキは大人っぽい色がよく似合うから」


陸人の言葉にあたしはほほ笑んだ。


しかし、その後続けられた「ナオにはもっと可愛い色が似あいそうだな」という言葉にあたしの笑顔は一瞬にして消えてしまった。