「手伝ってくれてありがとう!」
「良いよ。」
「にしてもあの小芝居ひどいぞ!俺200人と交換してねーし!」
 俺がかえでちゃんに恋をしたのは、オープンスクールの日だった。彼女は1人で青々とした桜の木を見上げてた。その姿に一目惚れをしたんだ…。なんか、凄く彼女に引き付けられた。寂しそうな、でも嬉しそうなその表情に…。今まで、どんな女子から告白されても何も響いて来なかったのに。
「何やってんの?」
気付いたら、俺は声をかけてた。彼女は、一瞬体をビクッとさせた。
「木を見ると落ち着くから…。私、田舎から出てきて周りに自然がないと不安になるので…。」
そう言うと、彼女は走ってどこかへ行ってしまった。
 あの日からずっと彼女のことが頭から離れなくて…。
幼なじみで生徒会長の原田 直人(はらだ なおと)に手伝ってもらって、ようやく彼女の連絡先を手に入れた。俺のはつ恋。だからこそ、必ず彼女を手に入れたい。届け、俺の祈り…。