【肖像画】


 わたしの歌があまりにも下手だったからか、作曲家の肖像画がくすりと笑った。

 恐怖よりも腹立たしさで一杯になり、肖像画をギロリと睨みつける。

 こうなったら絶対に音痴を直して、拍手をさせてやる。肖像画とわたしの、密かな闘いが始まった。