乱雑に積み重ねられたグリモワールを前に、僕は怒りを必死で押しとどめていた



ひどい、あまりにも、ひどい



一番上に置いてあるものは埃をかぶってすらいる



「・・・紫苑(しおん)」



「なんでしょう、主様」




首を小さくかしげた少女は端正な顔立ちをしている




黒い瞳、絹のような髪、まるで人形のようだ



「・・・掃除、するぞ・・・」



「えー、掃除ですかぁー」



紫苑が自分を呼び出したのはそんなことをするためだったのかと全力で抗議する



「俺には考えられない、こんな状態のまま放置する黄泉の汚さが!!!」



かっと目を見開いてその赤い瞳をメラメラと燃やしているのは本作主人公、葵(あおい)くん



「ほかのグリモワールも呼んで来い!すぐ終わらせるぞ」



「えー」



半ば睨むようにして紫苑を見つめる



「喜んでおよびしてきますぅ!!!!」



「いってらっしゃい」



そして、にこりと完璧な笑顔でほほえんだ