緋莉「じゃあね陵!明日の始業式で!!」




陵「おう!」









いつもの、別れ際に交わす挨拶。










でも次の日、陵は現れなかった。








その日、陵の家族は姿を消した。







理由は知らない。なにも。







まだ6年生だった私たちには、どうしようもない事だった。







きっと、陵はこのこのに気づいていただろう。







昔はとっても、勘が鋭いヤツだったから。







あの日、あの時、もう少し一緒にいたら







もっと長い間、一緒に居られたのかも知れない。
















――――――あれから、4年。







忘れたくても忘れられなくて




何度も思い出して




涙が止まらなくって




何でこんなに悲しいんだろうと、何度も思っていた。






それでももう、あの日々には戻れない。




戻る必要もない。





今の私には、明日があるから。

















「桜ヶ丘〜 桜ヶ丘〜 お出口は右側です」










今日は、転校初日。






故郷に戻る理由も、なくなった。







ただ、今日からの新しい日々が






有意義なものであればいい。






今はただ、それだけが心配で。




でもきっと、大丈夫。





自分に言い聞かせてた。