「うわ、なに朝からニヤついてんの。気持ち悪い。だいたい理由はわかるけど」


げっ。


教室に戻って席についていると、隣の席から声がしたので振り向く。


クラスメイトの勝地 遥(カツジ ハルカ)が頬杖をついてこちらをみていた。



「べっつに〜」


「また広真先輩か」


「朝から爽やかな気持ちなんだから邪魔しないでよ。あぁ〜今日もかっこよかった!」


「でた、面食い女」


「うるさい〜!」


勝地は、由良先輩と同じサッカー部だから、先輩のことを広真って名前で呼んでいる。


いいな。私も呼びたい。


「わかりやす過ぎ。先輩が引退した途端放課後の練習、急に見に来なくなったしよ」


「だって…由良先輩のいないサッカー部なんて、苺の乗っていないショートケーキだもん」


「…それ真顔で言うかよ。広真先輩以外のやつに失礼。あと俺」



「だって〜」


本当にそうだと思っちゃうくらい、サッカー部の中に由良先輩が入ると、部全体がキラキラしていて、それはそれは見入っちゃうものだもん。