「いつになく真剣な顔してるな、広真」


「何その言い方。俺いつも真剣だけど?」


「どこが。女子にキャーキャー騒がれて鼻の下伸ばしてるのしか知らない」


「相変わらずひどい言い方」


「本当だろ?」


まぁ、事実だけどね。


自分の席に着くと、後ろの席に座るダチの日高 宙(ヒダカ ソラ)がいつものように俺に毒を吐いた。



もう、いつものことだから慣れている。


こいつだけは、俺が笑顔を振りまく爽やかイケメンではなく、もっと心にドス黒さみたいなのを持ってるのを知っている。


「なんかあった?」


そして、そんな俺の本性を知っていて、結局優しかったりするんだ。


「何にもない…いつもと同じだよ。新しい彼女ができた」


そう。

いつもと変わらない。


唯一違うことといえば、


人生で初めての失恋をしたって言うことくらいだ。


それ以外は何にも変わらない。


「ふーん。でも珍しいな、お前が自分から彼女できたって報告するなんて」


後ろから聞こえる宙の声はなんだが落ち着く。


本当のお前を俺だけは知っているぞ、って声。