美子と階段で別れてから、俺は教室に戻ろうと廊下を歩く。


美子、多分お昼まだだったよな。


呼び出しなんて、悪いことしたな。


お昼一緒に食べようなんて、メッセージで言えば済む話だったのに。


朝、宮脇と愛菜が2人きりで話してるのを見ただけでむしゃくしゃして、思わず美子を呼び出してしまった。


寂しさや悔しさを美子へ触れることで埋めるかのように。


美子に対しての恋愛感情なんて一切ないのに。



「あ」


っ?!


聞き覚えの声が前から聞こえて、俺はゆっくり顔を上げる。


宮脇──────。



「……」


目がバチッと合ったけど、無視して通り過ぎようと足を動かした瞬間。



「…人の婚約者にあんまりちょっかい出さないでね」



っ?!



出席簿を俺の肩にポンっと乗っけた宮脇は、こちらを睨みつけてそういった。