「美子ちゃん」


きっと、初めてのキスであっただろう彼女の名前を呼ぶ。


キスしただけで腰を抜かしちゃう子なんて…。


他の人から見たら可愛くて仕方ないんだろうけど…。


ごめんね。


「…好きになってくれて、ありがとう」


精一杯俺が言えることはこれしかなくて。


ギュッと抱きしめても、俺の心なんか全然満たされなくて。


頭の中は愛菜ばっかりで。


好きだったな、愛していたな、なんて。



「私こそ…付き合ってくれて…ありがとうございます」


美子は少し照れながら頬を赤くして、そう言った。



多分、


俺よりもずっと、


君の方が大人だったのかもしれないね。