『へーそうなんだ。おめでとう』
愛菜の顔なんて見れなかった。
ガキだと思われたくなくて、
年の差なんて感じて欲しくなくて、
自分は他のガキより大人だと思わせたくて、
嫉妬して欲しくて、
俺を見て欲しくて、
好きでもない子と付き合って、それを見せつけるかのように。
でもそう言う考え方がやっぱりガキで。
『女の子、悲しませちゃだめだよ?』
愛菜にとって俺はずっと弟だったんだよな。
長かった片想いが、一瞬にして崩れてく恐怖を感じながら、
苦しくて、泣きそうで、平然なフリをして保健室を出た俺は、早足でいつも彼女を眺めていたそこへと向かったんだ。
保健室の窓がまっすぐ先に見える、外階段。



