《side 広真》


『愛菜』


『由良くん、小林先生、でしょ?』


俺はずっと、彼女が好きだ。


物心ついた時からずっと。


俺より8コ年上で、いつだって「優しくて綺麗なお姉さん」でいてくれた。


幼なじみ。


『俺さ、愛菜─────』


愛菜はきっと、俺の気持ちにだんだん気付いていた。


だからあの時──────。


俺が俺の気持ちを打ち明けようとした瞬間。


『あのね、ヒロくん』


久しぶりにその呼び方で呼んでくれて嬉しかったのに。


『私、結婚するの。宮脇先生と』


よりによって、俺の担任で。


嬉しそうにそういった愛菜は正直、今まで見てきた愛菜の中で1番女だった。