先輩は顔を少し斜めにすると、私の口元をジッと見ながらさらに顔を近づけてきて。
「……っ!」
これ以上顔を見ると本気で死んでしまいそうなので、思わず目を瞑る。
無理無理無理無理!!!
先輩とキスなんてっ!!!
だけど、声は出ないし体も動かない。
好きにならないと言われたのに。
かっこいい先輩が今、私を見ていると思うと、嬉しくて好きが増していくのは事実で。
さらに目を強く瞑った瞬間────。
私の唇に、柔らかいものが触れた。
嘘でしょ?
ゆっくりと目を開ける─────。
目の前には目を瞑った綺麗な顔が視界いっぱいで。
私、本当に──────。
由良先輩とキスしてるんだ。



