「ありがとう、」
先輩がそう言った瞬間、ちょうどチャイムが鳴り出した。
「行こっ」
「えっ、」
突然、先輩は私の手首を捕まえると、私を席から立たせて、そのまま教室のドアへと向かっていく。
クラスはさらに騒ぎ出す。
こんな……みんなの前で、先輩に手を掴まれてるとか!!
「先輩、授業はっ」
大好きな背中に向かってそう確認すると、
「言ったよね、美子の時間くれって」
先輩は、口角を上げながらそういうと、教室を出て早歩きで廊下を進んだ。
どうしよう……なんだこの展開は!!
いや、今から先輩に、キスのこと、すこぶる怒られるかもしれないんだ。
あんな、キスしておいて逃げるなんて。
でも……。誰もいない廊下で先輩と2人きり歩いているこの瞬間、だんだん実感が湧いてきてバクバクと心臓がうるさい。
「おっ、小柴。どうした、チャイム鳴ったぞ」
っ?!
先輩が階段を降りようとした瞬間、担任の佐藤先生とばったり。
なんてタイミングなんだ。



