「ほんっと、ああ言えばこう言うっていうか、ムカつくんだよね、勝地」


「まぁねぇ〜。でもさ、逆に勝地とか良くない?嫌いと好きは紙一重って言うし、見方変えてみたら案外好きになったりとか」


「え〜……栞それ本気で言ってるの?」


その日の放課後、私と栞はタピオカを片手に目的地のカラオケ店まで話しながら歩く。


「本気も何も、前からお似合いだなと思ってたよあんたたち。別に勝地だって顔悪くないじゃん、サッカーもうまいし」


「いやぁ……」


「一度ちゃんと男として勝地のこと見てみなよ」


そう言った栞は、スコーっとタピオカを吸い上げる。


そんなの……突然言われても困っちゃう。
勝地のことはまじで、ただの男友達だし、恋愛対象として今更見るなんてそんなこと……。


でもきっと、栞、私に前を向けって背中を押してくれてるんだと思うと、そんな気持ちが嬉しくて。


「……今日はありがとう、栞」


「何よいきなり。これからだし!今日は全部、吐き出すつもりで行くんだからね?とことん歌うよ?」


「おー!」


私たちはそう言い合いながら、見えてきたカラオケ店へダッシュして店内へと入った。