「はぁ?何言ってるんですか?もっとマシなこと言えないんですか?」


「あ〜そっか〜違うか〜」


栞の返答に被せるように、日高先輩が声を出した。


「……広真に美子ちゃん取られて、ヤキモチ妬いてるんだ?」


「……っ!!」


何を言っているんだ日高先輩……。と若干呆れながら、栞の方に目を向ける。


「えっ、栞……」


「うわ、図星じゃん。顔真っ赤。美子ちゃんから熱うつった?」


そんな日高先輩の冷やかしが決してオーバーなわけじゃない。


本当に、栞の顔は、真っ赤になっていた。


こんな栞を見たのは初めてで、内心、「可愛い」なんて思ってしまう。


「栞、ヤキモチって……」


「あぁ、もう最悪!クズはクズとつるむってことがよく分かった!ほんっと嫌い!美子とっとと治してよそれ」


栞は私の顔を一切見ないまま立ち上がって、ドアの方へと向かっていく。


「あっ、ちょ、栞……」


「じゃあね、美子ちゃん。お大事に。彼女のことは俺に任せてよ」


日高先輩も立ち上がり私にそう言うと、栞を追いかけるように部屋を出て行った。