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「んっ……」
おでこに冷たい感触がして、手を伸ばす。
「あぁ、ママが貼ってくれたんだ」
おでこには冷却シートが貼ってあって、ベッドの横に目をやると、スポーツドリンクとゼリーやプリンが置かれていた。
この感じ、すっごく憧れてたなぁ。
妹の佳子はよく体調を崩す方で、ママが看病しているのをドアの方でみては羨ましがっていたっけ。
まさか、高校生になって失恋のショックでその夢が叶うなんて。なんとも皮肉な話だ。
なんとなく、今の時間を確認しようと、ベッドに置いていたスマホに手を伸ばす。
10時22分と表示されたロック画面に、メッセージが5件ほど来ていた。
4件は栞。
『美子、今日休み?』
というメッセージと一緒に、可愛い猫が心配そうにしているスタンプ。
『熱って、大丈夫なの?』
そしてまた、おきまりの猫の心配そうなスタンプ。



