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翌朝。
ピピッピピッピピッ
脇の下から電子音がして、体温計を取り出す。
『38.2℃』
情けない。
実に情けない。
振られたショックで熱を出すなんて。
「あら、本当に熱あるじゃない。うつりたいって騒いで佳子がインフルエンザの時に佳子の飲んだジュース飲んでも絶対うつらなかった子が……」
佳子とは3歳年下の妹。
ママの声もあんまりよく聞こえなくて、頭がぼーっとする。
ママが言う通り、風邪を引くのだって難しい私が、失恋というショックで高熱を出してしまったなんて。
こんなこと恥ずかしくて、親には言えない。
昨日、あの後、私の話を遮ることなく聴いてくれた栞は、そのまま私を家まで送ってくれた。
栞にも迷惑ばっかりかけちゃって、ほんとダメだ。



