由良先輩はふしだら






『美子、あんたどこにいるの?もう授業始まってるよ?』


午後の授業開始のチャイムが鳴り終わっても、教室に帰る気力さえ失っていた私は、トイレの個室にこもって、栞からのメッセージを開いていた。


『ちょっと、お腹痛くて。トイレに』


『えっ、大丈夫なの?!』


ゆっくりと画面をなぞって返事を送ると、すぐに既読がついてメッセージが返ってきた。


『治りそうにないから早退しようかと』


返信しながら、まだ流れてくる涙や鼻水をトイレットペーパーで拭う。


こんな顔、誰にも見せられない。


すぐに栞から『わかった、ちょっと待ってて』と返ってきた。


ちょっと待っててってどういうことなんだろうか。


頭の中にははてなマークが浮かんできたけど、今は考えられる余裕がない。


返信しないまま、スマホを閉じてポケットにしまった。