由良先輩はふしだら



「……っ、うっ、わかり……ましたっ、今まで短い時間でしたけど、ありがとう……ございましたっ、うっ、とっても……」


とってもとっても。


「……楽しかったです。先輩を笑顔にしたいって言っておいて、私が一番っ、楽しかったですっ」


ぐちゃぐちゃになった顔を何度も制服の袖で拭いながら立ち上がる。


別れっていうのはもっと、それに至るまでに、そんな空気がやってきて徐々にそうなるものだと思っていた。


こんなに、突然やってきてあっさり終わるものだなんて。


「ん、いい人見つけてよ」


先輩は階段に座ったまま私の顔を見ないでそう言った。


まるで別人みたいで。


私はランチバックを抱えたまま、走ってその場を後にした。