「浜野先生の車の中の香りが良い香りで…気になっちゃって…」 緊張して、目も合わせられない。 うまく喋れない。 「あぁ…芳香剤」 足音で振り返ったのがわかった。 「ほ…欲しくて…どこで売ってるのかなって思って…」 「欲しいなら明日持ってきてやるよ」 「え!?」 嬉しくて思わず顔を上げた。 「あぁ、明日渡すよ」 笑顔の浜野先生を目が合った。 ドキン! 本当に、今までちゃんと顔を見たことがなかった。 「じゃあ、教室戻ろうか」 浜野先生がこんなに優しく笑う人だということを、知らなかった。