「右肘が下がってる。ラケットを動かすタイミングが遅いから、もう少し速くして打球をもっとはやく」

坂下がもう一度サーブを出す。

さっきよりも上手くいって

満足気な横顔の坂下を眺める。

「さやか、すげーな。いつからテニスやってるの?」

「…小学生のときから。」

「そっかー!頑張って追いつきたいなー」

そう言ってもう一度サーブを出す。

…坂下はきっと追いつく。

声に出して、坂下に言いたい。

誰も知らないが坂下は努力家だ。