「よろしくお願いしますって、デートかよ」




いちいち突っ込む矢沢さんの言葉に泣きたくなる。

デートだったらどれほど幸せだろう。

樹さんと、でっ……デートだなんて!!




甘い妄想が一瞬頭をよぎり、ぶんぶんと首を振る。

そんなあたしを見ていた南さんが、遂に確信に迫った。





「川口さん、好きなの?」




持っていた受話器が、ガシャーンと床に落ちた。




「マジで?小沢のばーちゃんが?」




怪訝な顔をしている矢沢さんに、とうとう言ってしまった。





「小沢さんの……お孫さんです」