「川口さん」
電話を持って現れたのは、事務員の岡田さん。
背筋をピシッと伸ばすあたしに、彼女は信じられないことを告げた。
「小沢さんって方から電話です」
「えぇッ!?」
あたしは再び大声を出す。
そんなあたしを、面白いものを見るように矢沢さんが見ていた。
「ほら、小沢のばーちゃんから電話だろ?」
その言葉ではっと我に返る。
……そうだ、樹さんから電話がかかってくるはずもない。
きっと、小沢さんだ。
小沢さんだ!!
呪文のように言い聞かせ、電話を耳に当てた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…