小沢さんの家に訪問するようになって、二ヶ月が経つ。

足腰が悪い小沢さんは立つことすらままならなく、最寄りの内科の医師が定期的に往診に来ている。

その処方薬を薬局から届けるのが、薬剤師のあたしの役割だ。

六年生の薬学部を出て、この春ようやく薬剤師になったあたしは、まだまだ駆け出しで頼りない。

小沢さんは、そんなあたしが初めて受け持った在宅医療の患者様だ。

頼りない薬剤師だけど、あたしに出来る精一杯のことをしたいと思っている。