飛べない鳥に、口づけを。






「そういえば川口、小沢のばーさん、老人ホームに入所したみたいだな?」



「はい。明日、樹君と一緒に訪ねる予定です」




老人ホームに入所した小沢さんの処方箋は、ふたば薬局に来ることはなかった。

薬剤師として小沢さんに関わることもなくなった。

だけど、大好きな樹君の祖母だから、これからもずっと大切にしたいと思う。

樹君の血縁者が小沢さんしかいないのと同様、小沢さんにとって樹君もたった一人の大切な親族だ。

小沢さんが最期まで、幸せでいられますように。





「小沢さんにはまだまだ長生きしてもらわないと困りますから」




あたしは笑顔でそう告げていた。